半端ではない中国の医害・薬害
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作成日時 : 2008/02/20 08:59
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「毒ギョーザ事件」でめちゃくちゃに明らかになった中国の「食害」。中国で食べるのも、水を飲むのもあまり快適でないことが良くわかった。しかし、この「快適でなさ」はそれに限らず、医薬の分野でもそうらしいのである。 中国医薬会の統計データによると、中国全土で不適切な薬品の服用などを原因とした死亡者はすでに20万人を超す。 とあるから、少なく見積もっても数十万人が亡くなっている。
中国で薬害が多いのは、単に薬のレベルが低いと言うのではなさそうだ。中国政府が、低所得者に「考慮して」薬の値段を下げているのも大きな原因らしい。薬の値段を下げると、そのしわよせは従業員の給与に響いてくる。給与が低いと、良質な労働力は逃げやすい。問題となった中国の会社の場合は、医薬中等専門学校生のミスが原因で多くの患者が亡くなったという。
日本の旅行者は、自分の薬をもっていくことはもちろんのことである。しかし、怪我や重い病気にかかったらどうするんだろう?日本はまだ近いから「日本に帰る」ということもあるかもしれないが、遠い欧米からの旅行者の場合は、より深刻だ。中国国内に欧米人向けの病院でもあるのだろうか?
別の問題もある。中国が医薬品原料の大輸出国であるということである。輸出先の中にはもちろん日本も含まれる。そのうち、「中国産薬品」「中国産原料から作った薬品」の事故(事件)が起こるかもしれない。
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(今回の一冊)
日本のジェネリック医薬品市場とインド・中国の製薬産業 (情勢分析レポート No. 5)
参考記事: 【外信コラム】千変上海 食より怖い医薬の安全(IZA)
この恐ろしい事件は最初、上海の有名病院の病室で発覚した。昨年6月下旬のことだ。
うだるような暑さの病室で周礼炯ちゃん(6)は突然、高熱に襲われ、立ち上がることさえできなくなった。礼炯ちゃんは急性リンパ白血病の治療を受けており、母親によれば、幸運にも順調に回復していた。
ところが、「もう少しで治るかも」と考えて特効薬とされる抗がん剤を脊髄(せきずい)に注射したとたん下半身がまひしてしまったのである。その後、同じ症状に見舞われた患者は上海だけで50人、全国レベルでは200人近くに上り、しかも、同じ製薬会社の抗がん剤を脊髄注射していたことが分かった。
医薬品事故の多い中国にあっても特に目を引いたのは、その会社が中国最大の製薬グループ「上海医薬集団」に属する抗がん剤の老舗企業「上海華聯製薬」だったことだ。同社は1939年に創設され、国家重点企業に指定された超優良企業だ。中国でよく見られる安価な偽薬や不良薬による薬禍ではなかった。
調査に入った国家食品薬品監督局も当初、「製造現場に規律違反はなく、抗がん剤の副作用が原因とみられる」と、会社側の説明をそのまま発表していた。
しかし、副作用にしてはおかしく、死者まで出たことから再調査が重ねられ12月中旬になってようやく製造責任者が上海公安局に逮捕された。そして中国で最も信用の高かった老舗製薬会社での恐るべき実態が明らかになった。
政府は低所得者対策として薬品価格の値下げを二十数回にわたって強制し、問題の抗がん剤の小売値は1本3・2元(約50円)。海外の有名製薬会社の抗がん剤だと540元。つまりとんでもない安値だった。
その結果、赤字を少しでも縮めるため従業員給与は1000元(1万5000円)レベルに抑えられ、医薬中等専門学校生を実習生として働かせた。そのうちの一人が別の抗がん剤(静脈用)の材料の貯蔵ビンを洗浄せずに使用して危険な成分を混入させてしまったのである。
中国医薬会の統計データによると、中国全土で不適切な薬品の服用などを原因とした死亡者はすでに20万人を超す。最近の事例を挙げると、2006年5月に黒竜江省の製薬会社が製造した偽造薬品によって13人が死亡、さらにその1カ月後には滅菌処理不足のブドウ糖注射液によって100人が体調不良となり11人が死んだ。
これほど薬禍が続く中で今回のケースが特に深刻だったのは、米紙ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルが指摘するように、外国製薬会社がコスト削減のため上海華聯製薬のような老舗製薬会社への委託製造を検討しており、薬禍が海外へと広がる可能性が出てきた点だろう。
安さを武器に世界市場を席巻するメード・イン・チャイナはいまや医薬品原料(API)にまでおよび、すでに世界最大の輸出国の地位にある。実際、米国の製薬は原料の8割を中国に頼り、日本も依存を強めている。
原料だけではない。ジェネリック医薬品と呼ばれる後発医薬品の分野でも中国製は輸出を本格化させており、その安さでシェアトップのインドに少しずつ迫りつつある。(前田徹)
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